「発表スライド」を作る前に読むこと

卒論、修論、学会発表の前に

下記のリンク先の資料が大変参考になります。一度目を通してください。
“Effective Presentations–A Must”
Craig J. Hawker
Angew. Chem. Int. Ed. 2013, 52, 3780-3781.
Hawker先生の資料で述べていることに加え、私が気をつけていることを記します。

1 論文の図をとスライドの図は違う
論文は、時間をかけて何度も読むことができます。しかし、発表のスライド1枚に費やす時間は1分未満です。だから、スライドの図はとってもシンプルにしなければ、聴衆には伝わりません。余計なことがのっていると、そこに目が取られ、すぐに次のスライドに話が移ってしまうのです。

2 1枚のスライドに、伝えたいことは最大1つ
4年生で初めて卒論発表をするときは、「このデーターもいれよう。」「この言葉もスライドに入れておこう。」と、1枚のスライドに沢山の情報のせた方が、質問にも答えやすいし、安心だという心理になりがちです。しかし、これは大失敗。聞いている方は情報が多くて、どこを見れば良いのか、何が大事なことなのか全く理解できません。
スライドの中のすべての図、すべての文章で、これは必要不可欠かどうか考えてみましょう。
「絶対に必要」ではなく、「多分」であれば、削除しましょう。

3 文章は極力少なく、視覚的に魅力のあるスライドを
あまり大事ではないことを文章でのせると、そこに目がいき、本当に伝えたいことを見失います。スライドにのせる文章も、これは必要不可欠かどうか考え、なくても伝わるのであれば、削除しましょう。その結果、効果的なスライドには、文章がほとんどない状態になるはずです。
例えば、「This Work」や「まとめ」のスライドに箇条書きで、沢山の文章を書いて、それを読むような風習があります。しかし、これは情報が多くなり、ノイズが多くなるだけで、本当に伝えたいことを伝える効果的なプレゼンテーションとは言えません。文章で沢山の情報を書いて伝えるよりは、図を使って伝える方が効果的です。聴衆に魅力を持ってもらうように、自分の発表のメッセージをうまく伝えるような図を作成した方が、メッセージが伝わります。
スライド1枚に費やす時間は1分未満です。発表を聞いている人は、理解するための時間が足りないくらいです。もし、そんな短時間の中で、フォントが揃っていなかったり、色が見にくかったり、色の組み合わせが悪く見にくかったり、間違いなどがあると、そこにばかり気がとられ、発表内容を理解することができなくなってしまいます。

4 論文のキャプションとスライドのタイトルは違う
論文のキャプションとスライドのタイトルは似たようなものだと考えがちですが、効果的なプレゼンテーションスライドを作成する上では、大きくことなります。スライドの上のタイトルは、そのスライドで伝えたいことを強調して伝える上で重要です。タイトルにはそのスライドで伝えたいことを簡潔に書くようにしましょう。
例えば、1H NMR of compound X これは論文のキャプションでよく見かける例ですね。でもスライドでは、そのスライドで伝えたいことを簡潔に書くべきですから、Single Stereoisomer is Observed.の方が効果的なタイトルになります。
筆者は思うには、発表の最初のスライドのタイトルに、Introduction(なくてもわかる。必要不可欠であるかどうかで考えると、答えは、多分。。。程度。Hawker先生のルールに従うと削除)がよく使われますが、短い時間の中で聴衆を引き付けるには、「〜〜〜の捕捉例はあるが、単離例はない」の方が効果的なタイトル例だと思います。

5 その他
字は大きく
基本かと思いますが、やはり、小さいフォントは見にくい。
大切なものほど大きいフォントを
大きい文字には目がいきやすくなります。大切なものほど大きなフォントサイズを使うのが鉄則です。
すべてのスライドでフォント、フォントサイズを統一
筆者の場合、3種類にして大、中、小で全体のスライドの中でサイズを統一しています。
目を追う順番に気をつける
1つスライドの中で、スライドの上から下、左から右、目を追いやすいような順番に説明する方がわかりやすいと思います。あっちを説明したり、こっちを説明したりは、わかりにくくなるだけです。
スライドの下は死にスペース
会場の聴衆の頭で隠れて見にくくなる部分で、一番下に一番大切なことを書くと最悪のケースでは見れな人が出ます。やはり一番上のタイトルに一番大切なことを書き、下は余白になっても良いくらいの感覚で作成するのが良いと思います。下にスペースがあるのは可だが、上に余白があるのはNGだと思います。

そして、声は大きく!!
小さい声は、自信がなく、消極的な発表に聞こえます。

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