有機化学でいつも話題になる置換基効果。なんとなく、ぼんやりと、電子を引っ張ったり押し出したり、あるいは、大きかったり小さかったりで理解していることと思います。化合物の構造と反応性について、最初に物理化学的に関係性を定量化しようというアプローチをしたのは、Hammett博士(およびBurkhardt博士)です。講義では、この感動の発見物語をしたいと思いますが、参考資料として、Hammett博士の論文を以下に紹介します。大学の中からでしたら、ダウンロードして読むことが可能です。
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Some Relations between Reaction Rates and Equilibrium Constants.
Louis P. Hammett
Chem. Rev. 1935, 17, pp 125–136.
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Hammettプロットは、最近の学部レベルの有機化学の教科書から姿を消し、また、物理化学の教科書にも出ていないのですが、化学平衡と反応速度の関係の本質的な理解についての重要なポイントが含まれており、「反応速度論」の講義で取り上げるべきトピックと考えています。
講義では、論文中のFig. 6.を板書しますが。正確に書くのは困難ですので、みなさんは元論文をあたって、確認してください。(著作権を気にしていて、このページに上げることはいたしません。)
また、Hammettプロットの解説は、以下のホームページが参考になります。
反応の速度定数(k)は、反応の平衡定数(K)と同様に、非常に重要で、かつ、使い勝手の良い値であることが分かるかと思います。平衡定数は、酸塩基の話で散々聞いて、みなさんも慣れていると思いますが、せっかく反応速度論の講義を聴いたのだから、速度定数(k)についても、使いこなせるようになってください!
さすれば、化学がもっと楽しくなること間違いなしです。
ちなみに、ですが、
高口は、この論文のタイトルに惚れています。
なんか小説みたいでワクワクするタイトルではないですか?
単著で、こんなタイトルの論文を書くなんて… 憧れますよね。