【1】共有結合かイオン結合かについて、電気陰性度の差で判断することを勉強しました。
が、(もちろん)例外があります。例えば、BF3の結合は共有結合。電気陰性度の差は2.0だが、BとFは共有結合と考えるべき。実際に、BF3の物性を見てみると、非極性溶媒(たとえばエーテル)に溶けるので、水を始めとする極性溶媒に溶けやすいイオン結合を持つ「塩」とは異なる物性を示します。このあたりをしっかり見極めるには、van Arkel-Ketelaarの結合三角図が便利です。こちらの資料集のp.28を御覧ください。「電気陰性度の差」と「平均電気陰性度」を使って、簡単に結合の性質を予想できます。本当はここまで突っ込んで説明したいところですが、教科書にはそこまで書かれておりませんので、省略しています。この資料集、何かと便利ですので、ダウンロードして、時々眺めることをお勧めします。
【2】ルイス構造式の書き方(text p.15参照)についての注意
すべての価電子を点で示したルイス構造式は煩雑で見にくいため,有機化学の講義および試験においては共有結合電子対を1本の線で示し、非共有電子対(および不対電子)だけを点で示す。試験で解答する場合にも特に断りのない場合にはこの書き方に従うこと。
【3】形式電荷を求めるなんて面倒くさい。
求めなくたって,酢酸イオンのマイナスが酸素に乗っていることぐらい分かるわい!と考えるあなた。少し複雑な分子について考えるとき,必ず形式電荷が必要になります。text p.19のニトロメタンの例のように、化学式において、電荷は総和でしか示されませんが、分子の構造中にはプラスやらマイナスやらが隠れている。必ずマスターすること。
【4】共鳴構造を示す矢印(↔)と平衡を示す矢印(⇄)とは区別して使い分ける必要があります。
なぜなら、共鳴と平衡は全く異なる関係だからです。大学卒業しても違いの分からない人が居るのは、困りものです。
【5】さて、皆さんの中には、もしかすると、18族の価電子はゼロと習った人がいるかも知れません。それは間違いです。高校もしくは予備校の先生に、あんた間違っとる!と伝えておいてください。大学生の友ともいえるWikipediaの「価電子」の項目には18族の価電子数はゼロと書いてあるので、それが正しいと思う人、リテラシーがだめらしーです。お気をつけて。たとえば、価電子の英語である、”valence electron”でgoogle先生に聞いてみてください。同じWikipediaの”valence electron”の項目では、18族の価電子数は8と書いてあります。試験では、XeF6のルイス構造式を書きなさいみたいな問題を出そうかと思います。これ、Xeの価電子が8個ないと、ルイス構造式書けませんよ。試してみてくださいな。
【5】老婆心ながら、1章の問題(例題4問、問題25問)全部解けるようになりましたか?
試験前にまとめて勉強しようとしても大変です。普段から勉強しておかないと必ず単位を落とします。それよりなにより、1章の理解ができていないと、3章以降、授業を聞いても分かりません。いつやるの?今でしょ!
【6】そして、「問題の解き方」(参考書)を見ても理解できなかったら、質問するのです。
間違えて、考えて、悩んで、質問して、理解して、成長です。
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