有機化学1(2019)勉強のヒント 第7回

【1】これまで学んだカルボニル基の反応の仕上げとして、カルボニルの還元反応を学んだ。還元って何?の疑問に答えるためには、炭素の酸化数(p.35)を復習する必要がある。酸素の酸化数が小さくなれば、それは還元反応だ。水素がついても、炭素がついても、酸化数が小さくなっている。

【2】ヒドリド還元も、Grignard反応も、求核剤が一風変わっているだけで、カルボニルの反応としてはこれまでと同じ様式だ。あとは、付加で止まるのか、付加した後、脱離をともなうのか、を前回学んだことを活かして考えればOK。

【3】教科書に、沢山の反応の巻矢印が書いてある。これを写して確認すると、基質が違うだけで、電子の動きはみんな同じ法則に従っていることが分かる。重要なのは、この法則の方!それを理解するためには、巻矢印を書いて、なぜそうなるのかを考えることを繰り返して下さい。

【4】合成計画で学んだように、有機化学の現場では、何通りも正解があり、そのいくつもある正解の中から、どれを選ぶか考えることをしなくてはいけない。覚えていたのでは、正解は分かっても、考えて選ぶことができない。結局のところ、理解した知識しか使えないのだ

【5】10章になって、いよいよ、多種多様な反応が怒涛のごとく押し寄せる感じが出てきた。ああもうダメだって諦める前に、もう一度思い出して欲しい。大切なのは、理屈。全部覚えてマスターしようなんて考えるのは、どだい無理な話だ。それよりも、多種多様な反応に共通するルールを考えよう。そして、なぜ、そんな反応条件なのか?(例えば、酸性条件・塩基性条件など)を理屈で考えられるようになろう。そうすれば、覚えていなくても、おおよそのことは分かるようになる。細かいことは、調べれば良いのだ。大筋をざっくり理解することのほうがよほど大切だ。

【6】そして、そのための巻矢印。反応を巻き矢印で書くことができれば、反応を理解したと言える。カルボニルの反応について理屈に従って巻矢印が書けるようになることが、「有機化学 Ⅰ 」の最大の目標であり、それさえできれば、今後の有機化学の学習の理解度が、一段上のものになる。そこを、ごまかしてしまうと、あとは、教科書を覚えるだけの、教科書砂漠だ。だから、いま、勉強しよう。

【7】10章は、1〜9章を理解して、はじめて、納得できる。もしも『?』な状態ならば、前に戻って復習するのが近道だ。

 

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複雑にみえる反応も、単純なルールの組み合わせで説明できる。
覚えるのではなく、説明できるようになろう。
それが、科学する心につながっている。
分からないことを、分かりたいという気持ちがあれば、
きっと研究をエンジョイできるはず。

有機研ではそういうみなさんの参加を、
心よりお待ちしています!

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