・受験者数61名(受講者63名)
・最高点 111点(120点満点)
・最低点 16点
・平均点 74点
・中央値 75点
・不合格者数 18名(うち2名は試験放棄)
受験者数中不合格となったのは、26%でした。
全体の講評
よくできた学生と、できなかった学生との差が顕著でした。100点以上の学生が8名もいました(残念ながら成績は100点で入力です)。平均点80点を目安に問題作成しましたので、全体の結果を見ると、やや難しい問題だったのかとも感じました。しかし、以下のデーターをみると、決して難しい問題ではなく、現役2年生は頑張って勉強してくださっていることがわかりました。2年生の出席率は例年に比べ高かったと思います。出席はとっていませんので、正確なことは言えませんが、講義を一生懸命聞いていた学生さんは高得点をとっていると感じました。
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2年生
・試験放棄者ゼロ! 諦めて投げてしまう人がいなかったことは、すばらしい。
・平均点 79点(120点満点)
・中央値 86点
・不合格者 7名
・不合格者の割合 17%
平均点に対して中央値の点が高いので、がんばって勉強してくださった人の割合が多いことがわかります。
再履修者 21名
・平均点 61点(試験放棄者の集計は除く)
・中央値 66点(試験放棄者の集計は除く)
・不合格者 11名(うち2名は試験放棄)
・不合格の割合 52%
中には、毎回、一番前の席で講義を聞いて、高得点をとった学生さんもいましたが、この数字は過去最低で深刻な状態です。
「単位を落とした」=「努力しなかった」とは思っていません。もし、一生懸命努力をした、それでも、なかなか結果を出すことができなければ、今の努力の方法にしがみつかずに、『今のこのやり方で適切なのだろうか』『間違った努力をしているのではないか』その点を考えなおしてみてください。個人個人、どうして落としたのかという理由は異なります。何が原因で、次年度、どうやったら単位がとれるのか、卒業や進級に向け、具体的な勉強の方法を担当教員に相談することの方が大切です。私に聞きにくかったら、当学科ではクラスアドバイザーの制度がありますので、クラスアドバイザーの先生経由の相談でもかまいません。是非、勉強の仕方を相談してください。
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問2 R, S の帰属
・分子模型を組まずに正解できた人は、問題の解答の設定時間を長く感じたのではないでしょうか。分子模型を組まずに正解になった人はすばらしいと思います。が、その一方で、解答を間違えたり、線形表記やFischer投影式がわかりにくい人は、分子模型を組んでから考えてみればよいのにと思いました。分子模型を組み立てる時間を考慮して問題時間を設定しているのですから。
・R、S表示はあっているものの、その解答を考える際に利用したCahn-Ingold-Prelog priority ruleが全く違う。(R、S表示を正しく理解できているかを見るために書かせていますので、R、S表示があっていても、その過程が間違っている解答は0点としました。成績評価試験であって、確率1/2の運を試しているわけではありません。)
問5 理由を書く問題
「SN1反応に対する反応性が高いのはどちらか、その理由とともに答えよ」という問題、共鳴安定化の場合は共鳴構造を書いて説明しようと演習の時間に説明したのですが、理解いただけなかったようでとても残念でした。解答として記載を求めている共鳴寄与式は、教科書の本文中の問題に同じものが書かれています。共鳴寄与式を書くことができないようだと、この先、有機化学はまったく理解できないということになりかねませんので、単位をとれた方も是非、復習を!!
一番まずいのは、理由の欄に「化合物Aの方が反応性が高いから」という理由を書くことです。(化合物Aと書かずに、「二重結合のついている化合物の方が反応性が高い」などと、その化合物を示すことを書いても同じです)。全体の18%の人がこういう理由の書き方を書いていました。これは、就職活動で「会社の志望理由は何ですか?」「この会社に行きたいからです」と言っているようなものです。これは化学の問題ではないのですが、何を答えれば適切であるのか問題で聞いていることがわからない人は、普段から5W1Hの文章を心がけ、5Wは何?1Hは何というのを意識すると、何をきかれているのかがわかるようになるかと思います。
問7 巻矢印の始まるところは、ローンペアか共有結合
H+もしくは水素から巻矢印を出している人が沢山いました。これダメです。
その他
・黒板の板書に沿った問題や、講義で扱ったHP掲載の演習問題の数値を計算しやすいようにするなど、できるだけサービスの問題をつくっているつもりですが、点数の低い人に限って、書き間違いや、教科書の似た問題の解答(全く違う問題の解答)を書いている人が多い。問題は自分で解いて勉強しましたか?問題を一度も解かずに、ノートに解答を写した立派な解答集をつくり、試験に臨んでも、意味はありません。(外国語の試験で、辞書を持ち込んだら、勉強していなくても満点がとれますか?)
例)図と文章で説明せよという問題に対し、文章は解答例どおりに一字一句間違わずに書いているが、SN1反応のエネルギー図がメチャメチャ。
例)似た問題の答えを探し、そのまま写したために、まったく違う化合物の反応(化学反応に使われていない元素が書かれていたり、炭素鎖が少なかったり、分子構造が違っていたりしている)を書いている。
例)R S があっていても、優先順位が全く違う。
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2020年の再履修者と有機化学IIIの履修者へ
もう一度こちらを読んでおいてください。
・ 問題を一度も解かずに、解答集をノートに機械的に写し、立派な解答集をつくっても意味はない。
→問題は間違えてもよいから自分で解く。
・ 講義がチンプンカンプンの人は、事前に予習をして、問題を解く。わからないところを集中的に講義で聞こう。そうすれば、効果的に理解度up!!