反応速度論の最初のお話は、有機化学の復習からスタートします。
まずは、以下の講義ビデオを御覧ください。
有機化学では、反応機構をさも当たり前のように教えていますが、「その反応機構、あんた、見たのかよ!」っていう気持ちになった人は、なかなか見どころがあります。反応速度式で観たのです。この意味が分かるかどうかが、この講義を受講した価値になりますので、この疑問を、ぜひ、持ち続けてください。
それから、SN2とかSN1とか、わけわからないよ!という人は、有機化学の教科書で復習することをお勧めします。12章をご覧ください。
ここから数回の講義は、この「求核置換反応」について取り上げますが、有機化学の反応には、いろいろな種類があります。有機化学のテキストの裏表紙を見ていただけば、置換、付加、脱離、転移といった、4つの代表的な反応様式が記載されています。このそれぞれについて、様々な反応機構が存在しているわけですから、反応機構についている名前は、それはもう、沢山あるわけです。
ときどき、1次の速度式になったらSN1、2次の速度式になったらSN2、という誤解をする人がいますが、それは間違いです。脱離反応には、E1、E2、E1cbなどのメカニズムがあることは、有機化学の教科書の13章で学びました。求核置換反応にも、SNi、SN2’、SN1’、SNi’など、まだまだ沢山の反応機構が知られています。そういった反応機構をどうやって区別するのかは、反応物、生成物、そして、遷移状態を観て、はじめて決めることができるわけなのですが、この講義で、なぜ、反応速度式を調べることで、SN2とSN1を区別できるかを理解することができれば、他の、どんな反応機構も、同様な考え方で対応できますので、このSN2とSN1の話を取り上げているわけです。
それではMoodleで小テストを受験ください。