「A Curiosity-Driven Life」を実践するために大学に、そして大学院に行こう

【はじめに】
高校1年生が大学訪問に来てくださるということで、急遽、このページを準備することにしました。
なにしろ、滞在時間が15分しか無く、研究について説明するにも時間が全く足りません。
まして、その背景にある、大学や学問の雰囲気をお伝えすることは到底かないません。
そこで、このページを、後からでも読んで、大学で研究するというのはどういうことかと言うのが伝わると良いなぁと期待しています。

さてさて、
今日は、何が知りたくて、大学に来たのでしょうか?
そもそも、みなさんは、何に興味があるのでしょうか?

【興味が無ければ始まらない】
環境理工学部は、職業訓練をするところではありません。
美容師さんになりたいとか、お医者さんになりたいとか、声優になりたいとか、
具体的な職業を目標としたプログラムがあるわけではありません。

それでは、進学すれば、なにかしら目標ができて、なんとかなるか?
といえば、そんなことはありません。

大学は、

  1. まず、はじめに、あなたの『興味』があって、
  2. それを深く学ぶための『居場所』を、
  3. あなた自身が『作る』ことをサポートする仕組み、

を提供するところです。

ですから、自分は何に『興味』があるのか?
(それは、漠然としていてもOKですし、途中で変わっても全然構いません。いや、むしろその方が普通かも。)
が、大学生活においては、最も大切な行動指針と言うことができます。

したがって、
『面白そうだ!』が無いと、何も始まりません。

【いつかはアンパンマン。でも、それはずっと先でも構わない】
アンパンマンのマーチ」は、稀代の傑作ですが、そこに出てくる

なんのために生まれて なにをして生きるのか
こたえられないなんて そんなのは いやだ!

とか

なにが君の しあわせ なにをして よろこぶ
わからないままおわる そんなのは いやだ!

というのは、人生の大問題であり、これを唱え続けるのが、
まさに生きるということかとも思います。

高校生のうちに、好きな事を見つけ、一生懸命努力して、
望みどおりの職業に就くことが素晴らしい。
(何パンマンになるのか、早く決めなきゃだめだ!)
というプレッシャーを感じているかもしれませんが、

大学受験に際して、「何をして生きるのか?」なんて決めるのは馬鹿げている。
そんなの、まだ、分かるはず無いじゃん!
という考え方も、アリなのだと思います。

医者になりたいから医学部。弁護士になりたいから法学部。
は、もちろん素晴らしいですが、

なんとなく環境のことが気になるから環境理工学部。
でも全然構わないのだと思うのです。

【天職は、あなたの世界の外側にあるかもしれない】
幼稚園の子供が、パティシエに成りたい!と言うように、
高校生が○○に成りたい、というのは、とっても愛らしく、
キラキラしていて、応援したくなります。

ぜひ、頑張って欲しいです。

けれど、あなたは、あなたの想像もしなかったものに成れる可能性もあるのです。
社会におけるあなたの役割は、あなたが決めるのではなく、周りから与えられるもの。
ですから、

  1. 自分の興味を深く追求し
  2. 自分の得意分野を作ることで
  3. 社会に貢献できる自分の役割ができて
  4. いつしかそれが天職となる

という、他人任せの職業選択でも、十分に幸せになることができると思います。

(これは、一般的に、あまり推奨されていないように感じますが、就職活動で悩む大学生と接していると、自分は何に向いているかなんて、自分が決めることでは無いよねって思います。自分に分かるのは、自分の興味だけです。)

おまけですが、
これは、研究者が、どんな研究をするかを考える時にも使える考え方かと思います。

【ようこそ環境理工学部環境物質工学科へ】
だから、将来、どんな職業につきたいか、なんてどうでもいい。
どんな科目が得意かなんて、大した問題じゃない。
「化学」と「環境」に興味があったら、この学部学科へ来て正解です。

大学進学について考えるときの参考にしてください。

そして、大事なことですが、
興味は変わって構いません。
いつも、自分の興味に従うことが大切で、
一生、同じことをする必要なんて、無いのです。
大学だって、職業だって、いくらでも変わって構わない。
そのフレキシブルさが、天職への道かと思います。

【自分の興味に従って「化学する心」を育てよう】
しかし、自分の興味に従うというのは、意外と難しいものです。
大学の講義だって、別に、みなさんの興味に合わせて開講されるものではありませんし、
教科書だって、必要性や一般性が優先されて書かれています。
ですから、皆さんが「受け身」でいる限り、大学で学問をenjoyすることはできません。

そこで、自分の興味に従って勉強するというのはどういうことか?のコツを掴むために、
高校生〜大学新入生のみなさんにオススメする教科書として、
鹿島長次先生の化学するシリーズを紹介します。(ぜひ、リンク先の記事をご覧ください)
大学の講義や教科書、自分で調べた本や論文をベースにして、
自分自身の興味に従った『○○を化学する』という教科書を作る。
それが、大学で勉強するということかと思います。

そして、その先に、
「興味があるのに、どこにも載っていない分からないこと」を
自分自身の力で明らかにする(=研究する)ことがあります。
みなさん一人ひとりの、独自の教科書の1ページとして、どんな研究を加えるのか?
そんな、ワクワクが、卒業研究であり、大学院での勉強ということになります。

【じゃあどんな研究ができるの?】
では、どんな研究ができるのか?についてですが、
研究室HP中「学部ガイダンス」の以下の記事を参考にしてください。

  1. 教科書の先の新しい「化学」
  2. 分子はエネルギー変換装置
  3. 「持続可能な開発目標(SDGs)」との関わりについて

みなさんに、こうした内容に興味を持って頂いて、
大学で、その興味を伸ばし、深めた上で、
研究室で一緒に研究をenjoyできる日が来るのを楽しみにしています。

 

最後になりましたが、
大学院進学だって、同じことです。
就職するために大学院に行くというのは、ちょっとズレているかと思います。気になるから、ちょっと興味があるから、試しに行ってみるというので、全然構わない。むしろ、大学院って、そういうところなのかと思います。
(これは、興味が無くなったら、途中でも止めれば良いというのと表裏一体です。学位を取るために、面白くもないことをするのは、良いアイデアとは思いません。)

 

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