- 単層カーボンナノチューブ光触媒による水からの水素製造
- 1. はじめに
- 2.1 半導体性カーボンナノチューブ
- 2.2 半導体性カーボンナノチューブを光触媒材料に使う上での問題点
- 2.3 SWCNTを光触媒材料に利用する解決法
- 2.4 SWCNTを水に可溶な光触媒へ
- 2.5 SWCNT/C60光機能界面の性質
- 2.6 SWCNT/C60を用いた光触媒の開発
- 2.7 様々な表面修飾カーボンナノチューブ光触媒を自在につくる
- 3.おわりに
得られたヘテロ接合型ナノ同軸ワイヤー構造の光機能界面の性質を解明するため,レーザー分光を用
いた光誘起電子移動の解析を行った.犠牲ドナーの1-benzyl-1,4-dihydronicotinamide(BNAH)存在下,可視光レーザー(532 nm)照射によるSWCNT/フラロデンドロン超分子複合体からメチルビオロゲンジカチオン(MV2+)への電子移動によるメチルビオロゲンカチオンラジカル (MV+•)の蓄積について検討したところ,全く同条件下,フラロデンドロンのみで行った場合のMV+•の収率8%に比べ,超分子複合体存在下でのMV+•の収率は20%となり,電子移動効率が2 倍以上向上した12).更に,過渡吸収スペクトルを用いた詳細な解析により,C60-SWCNT 間の光誘起電子移動を経てC60–•-SWCNT+•が生成することも明らかとなった.Tian らは,ナノ同軸ケーブル構造を持つシリコン太陽電池を作製し,高いポテンシャルを立証している13).ナノ同軸ケーブル構造の優位性は,(1)光の波長よりも小さい領域であるので,散乱による光のロスが少なく,透過性が高い,(2)光機能界面の面積が広い,(3)高いアスペクト比の構造は,電荷分離と電荷の拡散に有利であり,電荷再結合が起こりにくい,とされており,s-SWCNT を基盤とした光触媒能についても大変期待がもてる.プッシュ通知を