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  • 単層カーボンナノチューブ光触媒による水からの水素製造
    • 1. はじめに
    • 2.1 半導体性カーボンナノチューブ
    • 2.2 半導体性カーボンナノチューブを光触媒材料に使う上での問題点
    • 2.3  SWCNTを光触媒材料に利用する解決法
    • 2.4 SWCNTを水に可溶な光触媒へ
    • 2.5 SWCNT/C60光機能界面の性質
    • 2.6 SWCNT/C60を用いた光触媒の開発
    •  SWCNT/フラロデンドロン超分子複合体に,電子リレーとしてMV2+,光水素発生の助触媒としてポリビニルアルコール(PVA)に分散したPtナノコロイド(PVA-Pt),犠牲ドナーとしてBNAH を加えた後,pH7.5 のトリスバッファー中,422 nm 以上の可視光を照射し,光触媒装置を用いて発生する水素を定量した.測定の結果,水素の発生量は5.6 μmol/h(λ > 422 nm)となり,その量子収率は28%(λ = 450 nm)となった14).また,650 nm の単色光を用いると,11% の量子収率で水素が発生した.図6 に示したように,HiPco には様々なヘリシティーのSWCNT による吸収が可視~近赤外の領域に見られるが,450 nm の吸収にはs-SWCNTの吸収がないため,主にフラロデンドロンのC60 部位が光を吸収し水素が発生しているが,650 nm の光励起の場合,図6b の二次元蛍光スペクトル15)でもわかるように,HiPco に含まれる(7,6)SWCNTのE22 吸収帯を励起し水素が発生したと考えられる.すでに述べたように,s-SWCNTs はヘリシティーに応じたバンド構造と異なる吸収帯を有している.
       次に、(6,5), (7,5), および (8,3) SWCNTの混合物を用い,単色光を用いたヘリシティー選択的なSWCNT の光励起による水素発生について検討した.HiPco チューブと同様の実験条件下で,(8,3)SWCNTのE22 励起に相当する680 nm の単色光を照射すると,1.2 μmol/h の水素が発生し,その量子収率は17% となった16). また驚くべきことに,(8,3)SWCNT のE11 励起に相当する1000 nm の単色光を照射した場合,0.4 μmol/h,量子収率7.3% で水素が発生した17).この結果は,従来の光触媒系では有効利用が難しかった600 nm 以上の波長の光を用いた水素製造に対し,s-SWCNT を基盤とした光触媒系が有効な突破口の1 つであることを示しており,大変興味深い.

    • 2.7  様々な表面修飾カーボンナノチューブ光触媒を自在につくる
    • 3.おわりに
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