【1】ルイス構造式がしっかり書けること。オクテット則を理解しており、形式電荷がちゃんと書けること。電気陰性度を理解し結合がどのように分極しているかを判断できること。これまでの有機化学の講義内容をマスターしていないと巻き矢印を正確に書くことができません。もしも、よく分からないぞと感じた人は今が復習のチャンスです。教科書の初めからもう一度問題を解きながら読み返して下さい。
【2】巻矢印は、学生諸君の多くがつまずくところです。酸塩基反応で学んだように、化学反応は相手次第、まずは、求核剤を見分ける嗅覚が大事なのですぞ!
【3】求核剤と求電子剤さえ見分けることができれば、求核剤は巻矢印のスタート地点。求電子剤は着地点になっています。
【4】巻矢印、中間体や遷移状態の表記法、平衡の矢印、共鳴の矢印など、有機化学では表記法の一つ一つにこだわりを持ち、正確に書くことを大切にしています。『正確に書こうと努力すること=分子の気持ちや反応の仕組みを理解しようと努力すること』だと考えているからです。そういう厳密さは、諸君が将来研究をする上で非常に役立ちます。教科書や問題解答と自分の書いた巻矢印とをよく見比べて、少しも違いが無いように書けるように訓練して下さい。
【5】巻矢印の理解に苦しむ人のための問題集を以下に紹介します。とにかく,たくさん問題を解いて勉強する以外に理解の方法がありません。『有機化学』ワークブック 巻矢印を使って反応機構が書ける! (奥山 格著,丸善株式会社 780円)
【6】新しい結合ができる時は、求核剤を探すのでOKですが、結合が切れるだけの時は、脱離基を探すことになります。
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