- 単層カーボンナノチューブ光触媒による水からの水素製造
- 1. はじめに
- 2.1 半導体性カーボンナノチューブ
- 2.2 半導体性カーボンナノチューブを光触媒材料に使う上での問題点
- 2.3 SWCNTを光触媒材料に利用する解決法
- 2.4 SWCNTを水に可溶な光触媒へ
- 2.5 SWCNT/C60光機能界面の性質
- 2.6 SWCNT//C60を用いた光触媒の開発
- 2.7 様々な表面修飾カーボンナノチューブ光触媒を自在につくる
- 3.おわりに
水から水素を直接製造する光触媒は,日本発の技術であり(1),水素を運搬することが困難な山間地や離島など,オンサイト型の水素製造を実現するための手法として注目されている.太陽光エネルギーの変換効率は,光触媒の活性波長に大きく依存し,活性波長が400 nm以下の光触媒では,太陽光エネルギーのわずか2%しか利用できないが,活性波長域を600 nmまで拡げると16%, 800 nmまで拡げると32%まで利用できるようになると言われている(2).従って,光触媒の研究課題の中で,「活性波長域の長波長化」が一つのキーワードとなっている.我々は,可視〜近赤外までの領域に吸収波長をもつ半導体性単層カーボンナノチューブ(s-SWCNTs)の光機能に注目し,s-SWCNTsの直接励起による可視光-近赤外光応答型の光触媒に関する研究を展開しているので,その一部を紹介する.
参考文献
1) A. Fujishima, K. Honda, Electrochemical Photolysis of Water at a Semiconductor Electrode, Nature, 238, 37, (1972).
2) ASTM G159-98, Standard Tables for References Solar Spectral Irradiance at Air Mass 1.5: Direct Normal and Hemispherical for a 37˚ Tilted Surface (Withdrawn 2005), ASTM International, West Conshohocken, PA, (1998).プッシュ通知を