一方向凝固によるシリコンスラッジからの太陽電池用シリコン精製技術の開発
○概要○
- 近年、地球温暖化への配慮や化石燃料の枯渇などの問題からエネルギー源として再生可能エネルギーに期待がもたれています。
東日本大震災以降、原子力発電への懸念もあり従来の火力、原子力に代わるエネルギー源として再生可能エネルギーの中でも太陽光発電が注目されており、それに伴い生産量の増加が見込まれています。
現在太陽電池の多くは結晶系シリコンを用いて作られているが、製造過程で大量のエネルギーを消費し、さらに加工過程において約50%がスラッジとして破棄されている。半導体産業全体の廃シリコンスラッジの総量は膨大で、無害化処理工程での炭酸ガス排出や埋め立て処理などの環境負荷が近年大きくなっています。また、近年では太陽電池用シリコン原料が大幅に不足してきており、太陽電池用途に開発されたシリコン原料の製造が求められています。
この研究では、シリコンスラッジをリサイクルし再び太陽電池用シリコンとして利用できるまで純度を高めることにより太陽電池の製作過程及びスラッジ処分時にかかる環境負荷を抑えると同時に、高まるシリコン需要に対応することを目的としています。
○実験概要○
- Si中のFe、Al等の金属不純物や通常溶融状態のシリコンを鋳型に鋳込み一方向凝固によって精製されます。
そこで、シリコンスラッジ中の金属不純物の除去方法としてゾーンメルティング法を利用し溶融実験・理論計算を行い除去方法について検討しています。
○ゾーンメルティング法○
- 棒状の固体試料の一端を環状ヒーターで加熱し帯状の融解部分をつくり、これを試料の他端に向けゆっくりと移動させる操作を繰り返す方法のこと。
ヒーターの移動とともに融解帯の後方では固化が起こり、不純物濃度が固相と液相とで異なる偏析減少が生じるため、試料のいずれか一方の端に不純物が次第に濃縮されることにより純度を高めることができる。

ゾーンメルティング法概略図
上図のようにヒーターを徐々に移動させることで溶融部に不純物を集め、繰り返し操作を行うことで純度の高い物質を得ることができます。
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