鉄-硫化鉄混合粉による地下水中TCEの分解除去
○概要○
- 地下水や土壌汚染が社会問題となって久しく、浄化技術の開発と対策が活発になされてきました。
地下水・土壌浄化技術として、汚染された地下水を揚水・曝気処理によって、水中に溶解した有機塩素化合物をきかさせ清浄になった水を再び戻す揚水曝気法や土壌中に吸着もしくは滞留する有機塩素化合物をガスとして吸引して浄化する土壌ガス吸引法などが知られているが、浄化機関が長く処理費用が高いという問題があります。
これに対し、0価の鉄粉を用いて勇気塩素化合物を脱塩素分解し無害化する方法が開発され、その浄化期間の短さと比較的安い処理費用で行えるという点で脚光を浴びました。さらに、鉄粉中の硫黄濃度を増加させることで分解速度および分解持続性がますという報告例もあります。
この研究では、0価の鉄粉に硫化鉄またはに硫化鉄粉を混合し、有機塩素化合物を脱塩素分解する実験を行い最適な粉粒体の混合効果を明らかにしています。
○実験概要○
- 回分系で脱塩素分解実験を行い、有機塩素化合物を振とう攪拌により分解します。
系内の有機塩素化合物濃度を測定し、その結果から反応速度等の評価により最適条件の検討を行っています。
○揮発性有機化合物の分解原理○
- 鉄-硫化鉄混合粉による分解反応を模式的に示すと以下のようになります。

分解反応概略図
図に示す揮発性有機塩素化合物の分解反応は以下に示すような総括反応式(1)で表すことができ、アノード部では鉄の溶解反応(2)が、カソード部では有機塩素化合物の還元脱塩素化反応(3)が生じている。
総括反応 : Fe + RCl + H2O → Fe2+ + RH + OH- + Cl- ・・・(1)
アノード部の反応 : Fe → Fe2+ + 2e- ・・・(2)
カソード部の反応 : RCl + H2O + 2e- → RH + OH- + Cl- ・・・(3)
このように、鉄粉表面での局部電池反応によりRClの分解が起こります。
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